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栄養素3 炭水化物について


回は、炭水化物について、ですが、炭水化物についてどんなことを知っていますか?

例えば、炭水化物の役割は何でしょうか。


■炭水化物の都市伝説

炭水化物は太る原因、肥満の原因とか、言われたりするので、あまり食べないほうがよいと思っている方もいるし、炭水化物抜きダイエットなども流行ったりしましたね。

しかし、炭水化物は、よく知られているように脳や細胞のエネルギー源。体にとって欠かすことができないエネルギー源です。

私たちは炭水化物なしでは生きていけません。

だから炭水化物抜きダイエットというのは、健康を考えればやってはいけないのです。

前回も少し触れたのですが、タンパク質だけを食べて炭水化物を摂らない食事をすると、炭水化物から得る予定のブドウ糖が足りなくなります。それは健康にとって好ましくない状況です。

炭水化物はブドウ糖まで分解されてから体内に吸収されます。

そしてエネルギー源として利用されますが、もし、ブドウ糖が不足する状態になると脳が働かなくなるので、体内ではまず血液中のアミノ酸を使い肝臓でブドウ糖の合成を始めます。

つまり、食事で摂ったタンパク質を消化吸収して得たアミノ酸をエネルギー源として利用し始めるのです。(ちなみに、脂肪からブドウ糖を合成することはできません)

また、血液中のアミノ酸が足りなくなると、今度はタンパク質でできている筋肉をアミノ酸に分解して血液中に放出し、それを使って肝臓でブドウ糖の合成を始めます。

だから、炭水化物を必要量食べないと、食べたタンパク質は体の材料や体を守る材料に回らなくなりますし、筋肉は減っていくので、基礎代謝が落ちます。

基礎代謝が落ちると、体が冷え、免疫力も下がり、体や肌にトラブルが起こりやすくなります。

問題はそれだけではありません。

タンパク質がエネルギー源に使われるとき、つまり、肝臓でアミノ酸からブドウ糖を合成するときはエネルギーをたくさん消費し、老化の原因物質の活性酸素も多く発生します。

酵素も消費され、アンモニアも発生します。

タンパク質がエネルギー源になると、炭水化物よりも体の犠牲を多く払う必要があるのです。

炭水化物は食べ過ぎると脂肪になりますが、摂取量が少なすぎるとトラブルや老化の原因になってしまいますので、自分にとって丁度よい炭水化物の摂取目安量を知る必要があります。

炭水化物の摂取目安量が分かったら、それを一日の中でどのように摂るか、おおまかな計画を立てて摂るのが理想です。

その計画を立てる際のキーポイントになるのが血糖値です。


■血糖値

血糖値とは、血液内のブドウ糖の濃度です。

正常値は100ですが、60を切ると、昏睡状態におちいると言われています。

体はブドウ糖がなくては全く動けませんが、血糖値が高過ぎても、低過ぎても体が正常に機能しなくなるので一定の範囲に保つ調整機能が体には備わっています。

けれども、炭水化物を短時間で大量に摂取すると、血糖値の急上昇&急下降が起きやすくなり、それが頻繁に起きると調整機能が狂ってきます。

そして調整機能が狂うと体になんらかの悪い影響がでます。

血糖値の急上昇&急下降が起きないよう炭水化物の摂取の仕方に気をつける必要があります。

ちなみに食品別の血糖値の上昇率を示す指数としてGI値というのがありますが、目安程度にしてください。

その理由は、

1.公開されているGI値にはばらつきがあること。

2.血糖値の上昇スピードは、 食品の条件によっても異なるのですが、公開されているGI値の条件設定がよくわからない。

また食品によっては現実にはありえない摂取量での指数となっているので、指数だけをみると、食べないほうがよいと誤解してしまう恐れもあります。

指数は、その食品から炭水化物を50gとったときの値ですが、例えば、人参から糖質としての炭水化物を50gとるには1kg食べることになります。しかし現実には人参をそれほど大量に食べることはないと思います。

血糖値の急上昇&急下降に気をつけるために、まず知っておきたいのは炭水化物の種類です。


■炭水化物の種類

炭水化物は、糖質とも呼ばれているのですが、その種類は単純糖質と複合糖質の大きく2つに分かれます。

消化吸収されるスピードで、種類が別れていると考えるとわかりやすいかもしれません。


[単純糖質:消化吸収が早いタイプの糖質]

・砂糖(ブドウ糖:グルコース+果糖):主にお菓子・甘味飲料

・果糖(フルクトース):果物・ハチミツ

・乳糖:ミルク

・麦芽糖:大麦、とうもろこし、水飴


[複合糖質:消化吸収がゆるやかなタイプの糖質]

・澱粉=主に主食とする穀物類に含まれる糖質


■炭水化物の摂取ポイント

単純糖質は、1日の摂取量を少量にすること。

砂糖は1日20g以下が目標値。

果糖は、摂取した果糖の10%ほどはブドウ糖に変換され、残りの90%は肝臓で中性脂肪の合成に使われます。

ブドウ糖はそのまま脳や細胞のエネルギーとして利用されますが、果糖は中性脂肪の形で体に蓄えられ、あとでエネルギー源などに利用されるものととらえてください。

果糖は、果物やハチミツに含まれていますが、人工的に作られたものや抽出したものがあるので、それは避けること。(果糖またはフルクトース)と書かれていたら避けること。

果糖として抽出したものを摂取したときは、摂りすぎになり肝臓に負担をかける恐れや血液中の中性脂肪値をあげる恐れがあるとされます。

(砂糖はブドウ糖と果糖が結びついたものなので、砂糖を摂りすぎるのがよくないのは果糖の摂りすぎになるからだと言う説がある)

一方、果物などに自然に含まれている状態で果糖を摂取するときは、他の有用な成分も同時に摂取するので肝臓に負担を減らすなど、果糖の短所を打ち消してくれると考えられています。

ミカンやりんごなどで果糖を摂取した研究では血液中の中性脂肪値がむしろ下がっています。

「果物は、果糖が多いので中性脂肪を増やす」とする説をくつがえす結果が示されているので、つまり、果糖だけが中性脂肪値をあげる原因でないようです。

麦芽糖については、体内への吸収の早い澱粉だと考えてください。


次に複合糖質ですが、複合糖質=澱粉は、ブドウ糖だけがたくさんつながったものです。

砂糖よりもブドウ糖までに分解する手間がかかる分、消化吸収がゆっくりになるため、砂糖よりも血糖値が急上昇しません。この点が澱粉を含む穀物類が主食に向いている理由の一つです。

けれでも、短時間で大量に摂ると吸収後に血糖値がぐんとあがるので、一度の食事で食べる量は注意が必要です。

肝臓のブドウ糖の貯蔵量などを踏まえると、一度の食事で食べる澱粉の量は100g程度がマックスと考えたほうがよいと思われます。

そして、吸収をよりゆっくりにするために、食物繊維が多く含まれているものとブドウ糖の代謝に必要なビタミンを一緒に摂ることが、複合糖質=澱粉の大事な摂取ポイントです。

(ちなみに、使われずに体内に余ったブドウ糖はグリコーゲンという形で肝臓に一時的に蓄えられたり、中性脂肪の合成に使われます)


■炭水化物による血糖値の急上昇を防ぐ方法

1.よく咀嚼すること。

炭水化物の吸収の流れがよくなる。一定のスピート、一定の量で腸にはいりやすくなる。

2.食物繊維を多く含む食品を一緒に食べる

食べてから、血糖があがり始めるまで時間を長くできます。ただし、食べ過ぎは栄養の吸収を妨げるので注意。

3.単純糖質を大量に摂らない。

4.主食の複合糖質の摂取回数をわける

一度に大量に摂るのはやはり体に負担をかけるので回数をわけて少量ずつ摂るのが理想です。


■栄養は絶対量ありきのバランス

脳に必要なブドウ糖は1日120〜140g、脳以外の器官が要求する量は最低60g、合計で1日180〜200gのブドウ糖が必要です。

これでおおよそ800カロリーになります。

女性の方は一日の総カロリーの約半分をブドウ糖の摂取に回す必要があることになります。


最後に摂取しないように気を付けてほしい炭水化物についてです。

次の2種類はできるだけ避けてください。


■人工甘味料

人工甘味料は、カロリーゼロ、糖分ゼロを謳う食品によく使われているようですが、人工甘味料についての情報を集めるとあまりいい予感はしません。

甘味は本能が求めるものなので断つのは不可能なわけですが、だからこそ適量を知り、そしてナチュラルな甘味を楽しむのが健康にはよいと思います。

(ちなみに、いわゆる天然の砂糖と精製の砂糖の違いは、ミネラルを含むかどうかの違いです)


■異性化糖

異性化糖とは、ブドウ糖と果糖を主成分とする液状の糖で、澱粉から得たブドウ糖を酵素で果糖に変え、それにブドウ糖をブレンドして味を整えたものです。

果糖は自然な形で摂るのであればビタミンやミネラルとバランスがとれるのでデメリットが打ち消されますし、ナチュラルな果糖は、脂肪抑制や満腹指示をお行うホルモンによる指令で適量で満足感が得られます。

しかし、異性化糖はこれらのホルモンの司令で制御できません。甘いものを食べても食べても満足できなくなる状態になります。


炭水化物については以上ですが、毎日の食事の参考になれば幸いです。


ヘミュー 佐藤

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