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化粧水をやめたら肌が綺麗に
脱・化粧水の真実と誤解を紐解く
──18年の小さな積み重ね


粧水を頑張っているのに肌の乾燥が進み、悩みだけが増えていく──肌も心も満たされない、不思議な現象。

もしあなたが、いろいろな化粧水を試してきたにもかかわらず、むしろ乾燥や不調が深まっていると感じていたら──

その理由は、肌質や年齢ではなく、以前の私と同じように「化粧水を使わないと肌が水分不足になる」という、“肌のため”と思って守ってきたルールに、気づかないうちに縛られているのかもしれません。

私は化粧品会社での経験を含め、30年近くスキンケアの開発と販売に携わってきました。

長く肌と向き合ってきたなかで、どうしても揺るがない答えがひとつあります。スキンケアがうまくいく理由も、つまずく理由も、突き詰めれば同じ視点に戻ってくるということです。

それは──肌を守るいちばん外側、角層をすこやかに保てるかどうか。

なぜなら、すこやかな角層は、キメが整い、うるおいに満ち、ふと触れてほっとする「美しい肌質」そのものだからです。乾燥や刺激から肌を守り、シワの進みをゆるやかにし、ナチュラルな透明感をもたらしてくれます。

けれども──「必須」とされてきた化粧水が、そのすこやかさを損なっているとしたら?

たとえば「肌を擦ってはいけない」とよく言われるのは、角層が繊細で、大切に扱う必要があるからです。

摩擦が角層に負担をかけてしまうのと同じように、“必要以上の水分”も、じわじわと角層を弱らせてしまうことがあります。

「このまま同じことを続けていても、きっと変わらない」

今から18年ほど前、そう腹をくくった私は、思い切って化粧水を手放しました。

そして、「化粧水はいらない」ことを前提にした新しい処方設計を模索しながら、その一方で、流行の成分や新しいテクスチャーが次々と生まれてくる様子も間近で見てきました。

効きそうな、便利そうな、魅力的な響き。

それでも、私の選択を信頼してくださる方々の顔を思い浮かべると、「角層のすこやかさと引き換えにするような設計」はできませんでした。

やがてたどり着いたのは、「ふわふわに洗い上げる石けん」と「やさしく包むクリーム」を基本にした、ミニマルで続けやすいケア。

配合成分を整え、使い方を見直し、また少し変えて…

そんな18年の小さな積み重ねのなかで、お客様からは、たとえばこんな声をいただくようになりました。

● 「エステでは、いつも『肌がちょっと乾燥気味ですね、化粧水をしっかり重ね付けしてくださいね』と言われていたのですが、化粧水をやめてヘミューさんに変えてから、『肌の乾燥がなくなりましたね、頑張っていますね!』と言われるようになりました...

『化粧水をやめたおかげです』とは言えませんでしたが...」

● 「本当に化粧水は不要?と思いながら使い始めましたが、気付けばゆらぎにくい肌になりました。数年使って、最近では肌をきれいだと褒めてもらえることもあります。(特に頬のキメが整っていると言われます!)

私は混合肌で悩んでいましたが、安定して使えるものがあってとてもありがたいです。」

● 「50歳になったころから乾燥もかなり酷くなり辛い毎日を送っていました。ネットでヘミューさんのホームページが目に留まりじっくりと読みました。

これなら私の肌を助けてくれるかもしれないと感じながらも半信半疑で(ごめんなさい)使い始めたのですが、まず乾燥肌が改善され、その後徐々に顔が明るくなってきました。今はこの化粧品に出合えて本当に良かったと感じています。」

こうしたお客様との積み重ねが教えてくれたのは──

“角層を味方に”すれば、肌も表情も自然と明るく、美しく見えてくるということ。

このページでは、

• なぜ、化粧水をやめたら肌が綺麗になったのか

• 「化粧水はいらない」という考え方の真実と誤解

• 角層と水分の関係、乾燥ループが生まれる仕組み

を、できるだけていねいに紐解いていきます。

そのうえで、

じゃあ、化粧水をやめたあと、
具体的にどうケアしていけばいいのか?


という「次の一歩」については、

角層を味方にするための「ミニマルスキンケアメソッド」のページで、石けんとクリームを基本にしたシンプルな方法を、くわしくご紹介しています。

今のスキンケアに少しでも迷いを感じているときは、「なぜ、化粧水をやめたら肌が綺麗になったのか」その真実と誤解を、一緒にゆっくり確かめてみませんか?

明日のスキンケアが、今より少しだけ、気楽で、楽しみな時間になるように。

・この記事の趣旨は化粧水の否定ではありません。
・本記事は医療情報ではありません。症状がある方は皮膚科にご相談ください。

化粧水はいらない本当の理由|肌に本当に必要なスキンケアを解説中

配信開始2007年
最終更新2025年11月



化粧水の逆効果の輪郭


なたが「化粧水」を教わったのは、いつだったでしょうか。

雑誌やカウンター、友人との会話──きっとどこかで、「まずは化粧水でたっぷり水分を与えて、そのあと油分でフタをする。それが“正しい保湿”です」と教わってきたはずです。

私も同じで、かつて勤めていた化粧品会社で、まさにそのように教わりました。

乾燥が気になるときは、開発の現場でも販売の現場でも、まず化粧水の使用量を増やすのが“基本方針”。

私自身も、そのつけ心地から「なるほど、それが正解なんだ」と思っていたのです。

けれども、ある頃から、「化粧水を頑張るほど、うるおわなくなる」という不思議な現象が、多くの乾燥肌の方に共通していることに気づきました。

それでも当時の私は、「原因は、化粧水そのものではなく、化粧水に含まれる添加物にあるのではないか」──そう考えていたのです。

だからこそ、20年前にHEMUE(へミュー)を始めた当初の私は、「誤魔化しのない、心地よい化粧水」を届けようと、その理想を追いかけていました...

しかし、どれだけ品質にこだわっても、

• つっぱり感
• ゴワつき
• ざらつき
• 毛穴の目立ち
• 赤みやくすみ

といった、乾燥から生じる不調には、力不足を感じる場面が少なくありませんでした。

「なぜ、頑張っているのに肌がうるおわないのか?」

その理由を探り続けていたとき、ある原料メーカーの研究レポートの一文が目に留まりました。

「許容量を超えた水分で角層が壊れだす」

そこでようやく、化粧水の逆効果の輪郭が、はっきりと見えてきたのです。

──このまま化粧水を続けると、どうなるか。

乾燥を改善しようとして、

• 化粧水の“使用量”をさらに増やす
• もっと高保湿な化粧水を開発する

という方向に進んでいくと、一時的なしっとり感は高まります。

けれどもその裏側では、抱えられる量を超えた水分が負担となり、角層への逆効果が積み重なっていきます。

その結果──

化粧水を何度も重ねないと乾燥が落ち着かない状態をつくり、さらに頑張ってもうるおいにくくなる、“乾燥ループ”に陥りやすくなってしまうのです。

そんな状態になるのは、スキンケアを提供する側としても、どうしても避けたいことです。

だからこそ、化粧水をやめて「水分の負荷」を減らすことは、添加物に配慮するのと同じくらい、大切な見直しです。

もちろん、やめた瞬間から必ず肌がきれいになるわけではありません。

ですが、角層をしっかり味方にしていくためには、この第一歩が欠かせないと感じています。

角層のうるおいバランスという視点

顔の角層の厚さは平均でわずか0.015ミリほど。

とても薄くて繊細な層ですが、その中には肌を守る力とうるおいを保つ仕組み(うるおいバランス)がギュッと詰まっています。




「角層を味方にする」とは、この層をすこやかに保ち、本来の力と働きをきちんと発揮できるようにしてあげること。その結果として生まれるナチュラルな透明感を、無理なく活かしていくことです。

これは、当たり前のように聞こえるかもしれません。

ですが、化粧水の逆効果の輪郭に気づいたことで、「このいちばん大切なはずのことが、いちばん後回しになっていた」という事実を、痛感しました。

振り返ってみると、守りたい大事な人を、実は守れていなかった──そんな感覚に近いかもしれません。

はたして化粧水は、本当にスキンケアの“基本”なのでしょうか。

ここからは──角層が抱えられる水分量、そして「化粧水の役割」とされてきたものが、実際には肌の状態とどう関わっているのかを、順番に見ていきます。

1.数字が語る“水分補給”の真実

さきほど「角層を味方にすることが大切」とお話ししました。

そもそも、その角層はどれくらいの水分を抱えられるのでしょうか?

ここを知ると、「たっぷり化粧水」の意味が、少し違って見えてきます。

化粧水の水分が届くのは角層までですが、この薄い層が一度に抱えられる水分量は、実はとてもわずかです。

結論から言うと──

角層が一度に抱えられる水分は、目薬の数滴ぶんほど。

そこに、「ティースプーン1杯分かそれ以上」にあたる化粧水を、毎回押し込んでいるのです。

その感覚を具体的にするために、少し数字の話をします。

集めた基礎データをもとに、目安として概算すると…

• 顔の角層の厚さ:約0.01〜0.02 mm(日本人女性平均約0.015 mm/部位差あり)

• 保たれている水分量(顔全体):0.1〜0.3 mL

• 乾燥を感じるときの減少量:0.05〜0.1 mL程度(目薬にして約1〜2滴)

つまり──

角層が一度に抱えられる水分は、ごくごく少量なのです。

ところが、化粧水の一般的な推奨量は 2〜3 mL。

角層が抱えられる水分の10倍、20倍、それ以上にあたります。(ティースプーン1杯近くから、それ以上に相当)

目の中に入りきらないほどの水を一気に押し込んでいるようなものだとイメージしてみてください。

この抱えきれない水分は、角層をふやかしたあと、どんどん蒸発していきます。

これは本当に「水分補給」と言えるのでしょうか?

顔の角層水分量を実際に計算してみる

※顔の角層の体積=顔の表面積 × 顔の角層の厚さ

• 顔の表面積(成人女性の平均):約600 cm²

• 顔の角層の厚さ(日本人女性の平均):約0.015 mm(=0.0015 cm)

→ 顔の角層の体積:600 × 0.0015 = 0.9 cm³

※角層の質量=体積 × 密度

密度:約1 g/cm³(角層の主成分は水に近いため)

→ 質量:約0.9 g

※水分含有率

→ 正常範囲:約15〜30 %

※角層に保たれている目安水分量:0.9 g × 0.15〜0.3 = 0.135〜0.27 mL

※乾燥を感じる時の角層水分率を15%前後とし、快適ラインを20〜25%と仮定した場合、不足している水分は約0.05〜0.10 mL(目薬にして約1〜2滴)です。

強い乾燥を感じる状態=10%まで下がっている場合の水分減少量は約0.13 mL(目薬3滴分程度)になります。

※肌の状態には個人差があります。数値は目安です。


|参考文献|以下の文献・データをもとに自社にて角層水分量を計算
Madison KC. "Barrier Function of the Skin: 'La Raison d’Être' of the Epidermis." J Invest Dermatol, 2003.日本皮膚科学会『皮膚科学』改訂版, 2020.Lodén M., "Role of Topical Emollients and Moisturizers in the Treatment of Dry Skin Barrier Disorders." Am J Clin Dermatol, 2003.

※この概算は個人差・環境差があります。角層水分量、および計算方法は弊社独自のデータです。転載・引用を禁止しますーCopyright(C) 2005-2025 Marimba Bongo Co.Ltd.

2.化粧水の主な役割と水分の関係

「それでも、化粧水には大事な役割があるはず…」

そう思われる方も多いと思います。

一般的に、化粧水には次の3つの役割があると言われています。

① 水分補給

② ブースター効果(浸透サポート)

③ 保湿成分の補給(ヒューメクタント)

どれも、化粧水でこそ叶えられる役割のように説明されますが、実は「化粧水でなければできない役割」ではありません。

水分との関係から──むしろ、これらの役割を化粧水に頼っていると、角層にとっては“負担になりやすい側面”があることがわかってきたのです。

ひとつずつ整理していきます。


① 水分補給の実際

角層は“堤防”のように働き、外から入ろうとする水分をせき止める構造を持っています。

一方で、角層の水分は常に少しずつ蒸散していますが、同時に、

• 肌内部から上がってくる水分
• 汗や空気中の湿気

といった水分をキャッチして、必要な分だけとどめています。

角層は本来、この“蒸散と供給のバランス”によって一定の水分量を自然に維持しています。

そのために水分を吸ってふくらむ性質もありますが、抱えられる量はごくわずか。

さきほどの数字で言えば、「目薬の数滴ぶん」程度です。

もし、この許容量を超える水分が一度に浸透すると──

• 角層がふやける
• 構造が弱る
• バリアが緩む

という状態になります。

まさに、水を吸いすぎたスポンジのようなものです。

その結果──化粧水で大量の水分を一度に押し込む行為は、本来の意味での「水分補給」ではなく、「負荷」に変わってしまうのです。

つまり、「与えているのに、前より乾燥しやすい」という状態が生まれやすくなります。抱えきれない水分を押し込んでも、“うるおいの安定“にはつながりません。


② ブースター効果の実際

「化粧水をたっぷり馴染ませると、美容液や乳液がよく入る」

──これが“ブースター効果”と呼ばれるものです。

しかし、その正体は水分負荷で角層のバリアが一時的に緩むという現象にすぎません。

“ブースター”という表現はよさそうに聞こえますが、実際は──

• 角層の健全な抵抗(バリア機能)が弱る

• だから成分が“入りやすくなる”ように感じる

というだけのこと。

言い換えれば、角層を弱らせることで成立している効果なのです。

もし、どうしても化粧水を使いたい場合でも、肌が軽く湿る程度の“ごく少量”にとどめてください。乳液やクリームを塗り広げやすくするのが目的なら、それで十分です。

すこやかな角層にとって、「ブースター効果」は本来必要のないものなのです。むしろ、それに頼るほど、乾燥やゆらぎを招きやすくなります。


③ 保湿成分の補給の実際

保湿に必要なのは、大きく分けて2種類の成分です。

• ヒューメクタント(水溶性の吸湿成分:水分を抱え込むタイプの保湿成分)

• エモリエント(油溶性の蒸散防止成分:油の膜で水分の逃げ道をふさぐ成分)

しかし、化粧水に配合できるのは、水溶性のヒューメクタント成分のみ。油溶性のエモリエント成分は、化粧水には配合できません。

そのため、

• まず化粧水でヒューメクタント

• その後に油分(乳液やクリーム)でフタ

という二段構えが生まれました。

ただし、この方法には大きな前提があります。

► ヒューメクタントを浸透させるには、水分で角層を緩める必要がある

結果として──“水分負荷ありき”の保湿設計となってしまうのです。

そのため、一時的にはしっとりしても、その裏側では、角層への逆効果が少しずつ積み重なっていきます。

「たくさん与えているのに、なぜかうるおいが安定しない」

そんな感覚の背景には、こうした「役割そのものは悪くないけれど、“抱えられる水分量”を越えてしまいやすい仕組み」 があるのかもしれません。

3.化粧水が必要という常識の背景

ここまで読んで、もしかしたら、

「でも、ずっと“化粧水は必須”って聞いてきたのに…」

「私が間違っていたのかな?」

と、少し戸惑いを覚えているかもしれません。

このパートでは──

「どうして化粧水が“必須”と言われるようになったのか」

その背景を、業界側の視点からお話しします。

少し内側のお話にはなりますが、ここを知っておくと──「私が間違っていたのかな?」という戸惑いや、「化粧水をやめて大丈夫なのかな?」という不安は、きっとやわらいでいくはずです。

では、なぜ「化粧水で水分 → 油分でフタ」という設計が、長く「基本の保湿」とされてきたのでしょうか?

理由は、大きく3つあると思います。

① うるおい感を演出しやすい化粧水が、処方体系の中心となった

② 「浸透=効いている」という思い込みが広がった

③ “たくさん塗るほど良い”という発想が強調された

ひとつずつは、決して悪意から生まれたわけではありません。

「使ったときに心地よく感じてもらいたい」という意図から始まったものも多くあったはずです。

けれども、こうした背景が長い時間をかけて重なり合うなか──

「化粧水で水分をたっぷり → そのあと油分でフタをする」という手順が、“正解”として扱われるようになり、その前提に合わせて処方が設計され続けてきました。

つまり、「角層のために」生まれた設計ではなかったのです。

本来、水分もヒューメクタント成分(うるおいを抱え込む成分)も、「化粧水でしか届けられない」わけではありません。

処方設計次第で、

• 美容液
• 乳液
• クリーム

どの形でも、角層に適切に届けられるように作ることは十分可能です。

要は、化粧水が必要か不要かは、“つくる側の考え方次第”というところがあるのです。

にもかかわらず、化粧水中心の処方体系が長く続いてきたことで、

「化粧水をたっぷり入れる」ことが“うるおいケアの象徴”になり、「化粧水は必須」という常識そのものが、そっと“作られていった”と言えます。

その結果、「たっぷりつけているのに乾く」という矛盾を抱えたまま、私たちは長いあいだ化粧水中心のケアを続けてきたのかもしれません。

そして私は──

この「化粧水ありき」の構造こそが、気づかないうちに角層に水分の負担を蓄積させ、「乾燥ループ」へとつながっていくことに気づきました。

それは、あなたの肌が弱いからでも、ケアをさぼってきたからでもありません。

「そうせざるを得ない仕組み」を届けてきた、私たち“つくる側”の責任だと受け止めています。

4.そして──“乾燥ループ”が起こる

「化粧水をたっぷりつけているのに、乾燥が止まらない」

そんなとき、肌の上では何が起きているのでしょうか。

肌は、日々生まれ変わっています。

角層は、角質細胞が何層も積み重なってできていますが、外側の古くなった角質細胞は垢として剥がれ、内側から新たにつくられる角質細胞に入れ替わっていきます。

この入れ替えを繰り返すことで、肌は「すこやかな角層」を保とうとし続けています。

ところが、角層への負荷が続くと、この仕組みそのものが乱れ、「不全角化」と呼ばれる現象が起きやすくなります。

角層をレンガの壁に例えると──

• レンガ=角質細胞
• レンガをつなぐセメント=細胞間脂質

にあたりますが、不全角化が進むと、レンガである角質細胞は小さく未熟になり、セメントである細胞間脂質は十分にできなくなります。

その結果──




「すきまだらけの壁」のような角層になっていき、

• 乾燥しやすい
• 刺激を受けやすい
• 赤みが出る
• 毛穴の目立ちが増える
• くすみやすい

という不調が、次々とあらわれやすくなります。

多くの方は、その状態をなんとかしようとして、

• 化粧水の量を増やす
• たくさんのアイテムを重ねる

といった“対症的なケア”を選びます。

けれども、そのたびに角層には水分の負担が重なり、不全角化がなかなか解消できず、さらに乾燥やゆらぎが進んでしまう。

ここで生まれるのが、「乾燥ループ」です。

乾燥を防ぐために水分を足しているのに、このループでは、「水分を足すこと」そのものが乾燥の原因になってしまっているのです。

乾燥ループの構図

1)化粧水・多アイテムで角層に水分負荷
  ↓
2)角層の構造(レンガ+セメント)が弱る
  ↓
3)不全角化が進み、すきまだらけの角層に
  ↓
4)乾燥・刺激・くすみ・毛穴などの不調が悪化
  ↓
5)さらに化粧水を重ねる・アイテムを増やす
  ↓
6)再び水分負荷 → 角層がさらに弱る(負の循環)

水分負荷から乾燥ループまでのしくみ

水分負荷 ► ふやけ(maceration)/経表皮水分喪失(TEWL)上昇 ► ラメラ配列の乱れ/コルネオデスモソームの弱化 ► 不全角化・NMF/セラミドの低下 ► 乾燥・刺激に傾きやすい状態

• ふやけ(maceration):角層が水分を含んでふくらみ、手触りが一時的になめらかになる

• 経表皮水分喪失(TEWL):汗の蒸発とは異なり、自覚がないまま角層から失われる水分のこと。乾燥状態やバリア機能の低下を示す指標。

• ラメラ配列:水分と油分(細胞間脂質)が交互に層をなしている構造のこと。ラメラ構造はバリア機能の要。

• コルネオデスモソーム:角質細胞同士を接着する細胞接着構造

• 不全角化:角質細胞が未熟な状態になること。NMF/セラミドの量も低下する。


薄く繊細な「顔の角層」は、身体の中でも特にこのループに陥りやすい部分です。

もし今、「化粧水をたっぷりつけているのに乾く」という状態が続いているとしたら、この乾燥ループが、静かに進んでいるサインかもしれません。

あらためてお伝えしたいのは、それが、あなたの肌のせいではないということです。

できることを続けてきたからこそ起きている現象──だからこそ、化粧水をやめたとき、肌には新しい変化が起こります。


化粧水をやめたら、肌はどうなる?


ここまで見てきたように、角層が抱えられる水分量はごくわずかです。

つまり──「化粧水を使わないと乾燥する」という考えは、本来の肌の仕組みから見ると少し違っているのかもしれません。

水分は、“たくさん溜め込む”ものではなく、“必要な分を安定して維持する”もの。

化粧水に頼る、いわば“水分負荷ありき”の保湿を手放すことで、肌は乾燥ループからゆっくり抜け出し、角層のすこやかさを取り戻していきます。

その過程で、肌にはどんな変化が起きるのか。

多くの方に共通する「入り口」と「その先」を、順番にお話しします。

最初に起こる変化:一時的な揺らぎ

水分負荷から解放された直後の角層は、まだ“ふやけ”の影響が残っているため、

• つっぱり
• ゴワつき
• ざらつき

といった感覚が、いままでより強く感じられることがあります。

このとき「やっぱり化粧水は必要なのでは…?」

と不安になるのは、とても自然な反応です。

でも、慌てなくて大丈夫です。

この感覚は、角層が本来の状態に戻ろうとしている“入り口”に立ったサイン。

多くの場合は、一時的な“通り道”のようなものです。

肌が新しい環境(=水分負荷に頼らない状態)に慣れていくにつれて、少しずつ、ゆっくりと落ち着いていきます。

そのあとの変化:すこやかさが育つ

角層のすこやかさが戻り始めてくると、肌は次のような前向きな変化を見せ始めます。

• うるおい感が安定してくる
• 表面がやわらかくなる
• キメが整う
• 乾燥しにくくなる
• 肌のトーンが自然に明るくなる
• 赤みや刺激に強くなる
• 毛穴まわりの悩みがやわらぐ

これは、角層のすこやかさが育ってきた証。

ある日ふと、「そういえば、前より乾燥であわてる日が減ってきたかも」と気づくような、小さな変化の重なりから始まります。

ただし──

化粧水をやめるだけでは不十分なことも

薄く繊細な顔の角層は、

• 季節の変わり目
• 室内の乾燥
• 体調やホルモンバランスの揺れ
• 紫外線や摩擦などの外部刺激

といった影響を受けやすい部分です。

そのため、単に「いつもの手順から化粧水を省くだけ」

というやり方では、角層が十分に整わず、すこやかさが揺らぎ続けてしまうこともあります。

だからこそ必要なのは──

• すこやかさが損なわれないように支える

• 損なわれたときは、カバーしながら回復へ導く

この2つを満たし、角層の働きと調和する「新しい処方設計」です。

角層こそ、肌を確かに支える存在

繰り返しますが、すこやかな角層は、キメの整ったやわらかな手触りを生み、乾燥や刺激から肌を守ります。

そして、シワの進みをゆるやかにし、ナチュラルな透明感を生み出してくれる存在です。

肌を安定した状態に保とうとする力(ホメオスタシス:自分でバランスを整える力)とも深く関わり、キメ・ハリ・ツヤ・透明感といった“肌質”を左右しているのも、この角層です。

どんな化粧水や美容成分の流行よりも──あなたの肌をいちばん確かに支えているのは、角層そのものなのです。

角層の働きと調和する新しい処方設計

私は、脱・化粧水の本質──

「角層を味方にすること」と向き合い、その働きと調和する新しい処方設計を模索してきました。

たどり着いたのは、

• 「石けん」で、角層をいたわりながらふわふわに洗い上げること

• 「クリーム」で、角層をやさしく包み、うるおいバランスを保つこと

に、紫外線対策を加えた、ミニマルで続けやすいケア。

18年の試行錯誤を重ねて得た手応えは、60代となった私自身の肌にも、HEMUEをご愛用いただいている方々の声にも、確かに表れています。

▼次のページ:具体的な内容はこちら

角層が、そのすこやかさを取り戻し始めると、抱えていた肌の不調も、少しずつ落ち着いていきます。

肝心なのは、その先で生まれてくるナチュラルな透明感を、どう活かしていくか。

次のページでは──

► 何を避け、何を守ったのか

► なぜ、3つのアイテムに絞ったのか

► どんな毎日を支えるメソッドなのか

を、HEMUEミニマルスキンケアメソッドとして、具体的にお話しします。

ミニマルスキンケアメソッド|脱・化粧水で角層を味方に🔗を詳しく見る

「化粧水はいらない」と気づいたその先を──肌にも、心にも、ゆっくりと広げていくために。


よくある質問(FAQ)
化粧水はいらない?やめて大丈夫?


Q1. 本当に化粧水はいらないですか?

A.「絶対に必要か」という意味では、化粧水はいらないと考えています。

化粧水は「水分補給に欠かせない」とされていますが、角層が抱えられる水分量の目安は、0.1〜0.3 mLほど(個人差あり)です。

それ以上の水分を一度に与えても、角層にとっては負担になりやすく、あまり意味がありません。そして、他のアイテムでも必要な水分は補給はできます。

とはいえ──

「今すぐゼロにするのは不安」という場合や、化粧水への依存度が高くなっている場合(使用量が多い)は、肌の感覚を“新しい環境”に慣らすためにも、様子を見ながら徐々に使用量を減らしていく“段階移行”をお勧めします。

「化粧水をやめたら肌が綺麗になった」と感じる方が増えているのは、“水分による負担”が減り、角層の状態が安定してきた結果だと考えています。

Q2. 化粧水の代わりに何を使えばいいですか?

A. 「化粧水のあとに使うこと」を前提にしたアイテムをお使いの場合は、お手入れ全体の見直しが必要になるかもしれません。

角層に本当に必要なのは、大量の水分ではなく、

• 肌の内側
• 汗
• 空気中の湿気

などから少しずつ供給される水分を、きちんととどめておける力。

そして、その力を支えられるスキンケアが大切です。

「化粧水の代わりに何をどう使うか」は、こちらで詳しくご紹介しています。

ミニマルスキンケアメソッド|脱化粧水で角層を味方に🔗を詳しく見る

Q3. 敏感肌でも化粧水は必要ないですか?

A. むしろ、敏感肌の方ほど「脱・化粧水」で角層を守るケアが大切だと考えています。

敏感肌は、角層の“すき間”が広がりやすく、そこに大量の水分が押し込まれるとバリアがさらに緩んでしまいます。

一時的にはしっとりしても、その後にピリピリ感や赤みにつながることも少なくありません。

脱・化粧水で角層の構造が整ってくると、

• ピリつき
• 赤み
• ちょっとした刺激への過敏さ

などが落ち着いてきた、と感じる敏感肌の方も多くいらっしゃいます。

もちろん、アレルギーや皮膚疾患がある場合は、自己判断だけでやめるのではなく、必要に応じて皮膚科専門医に相談しながら進めてくださいね。

Q4. 乾燥がひどいときは、化粧水を使ってもいいですか?

A. どうしても使いたいときは、“肌が軽く湿る程度”の少量にとどめてください。

一時的に「つけたほうが安心する」「急な乾燥でつらい」という場面もあると思います。

その場合は、

• コットンで何度もパッティングする
• 肌がびしょびしょになるまで重ねる

といった使い方は避け、少量をそっとなじませる程度にしておきましょう。

化粧水を使うほど角層がふやけやすいのも事実です。

化粧水は基本ではなく“補助的なオプション"と考え、日頃の基本ケアは角層を整える方向に寄せたほうが、長期的にはうるおいが安定につながります。

Q5. 効果を実感するまでにどれくらいかかりますか?

A.角層の入れ替わり周期である「数週間〜1か月ほど」で、変化の“きざし”を感じる方が多いです。

個人差はありますが数週間〜1か月ほどで、

• 「前より乾燥しにくくなった気がする」
• 「ときどき調子の良い日が出てきた」

といった、小さな変化に気づかれる方が多いです。

“肌質への実感”は1〜3ヶ月を目安にしてください。

大切なのは、ただ乾燥をしのぐのではなく、

• 角層のうるおいバランスを守ること
• 乱れたときには静かに回復させてあげること

この2つを意識しながら、コツコツ続けることです。

その積み重ねによって、乾燥や刺激に振り回されにくい、「美しい肌質」へと少しずつ近づいていきます。

▼メソッドをくわしく見る
ミニマルスキンケアメソッド|脱化粧水で角層を味方に🔗


|参考文献|
本記事の内容は、皮膚科学・化粧品学に基づく一般知識をもとに作成しました。参考文献:Lodén M. (2003), Rawlings AV. (2004), 日本皮膚科学会 (2020) ほか。


※このページにはスキンケアについてのヘミューの考え方を記載しています。弊社に無断でこのページの内容の全てまたは一部の転載を禁止します。