化粧水がいらない本当の理由
乾燥肌改善の鍵は化粧水からの解放
もし、化粧水の役割に疑問を持たなかったら、私は肌のことで悩む人を増やしていたでしょう。
丁寧に化粧水を重ね、スキンケアをがんばっているのに、それでも肌の乾燥が落ち着かず調子が整わない、自信を持てない...
この不思議な現象が起きてしまうのは、当然なのかもしれません。
なぜなら...
化粧水は、スキンケアに欠かせないものとされてきました。しかし、その“常識”について皮膚科医の間でも見解が分かれてきています。
「化粧水は水分がほとんどなので使う意味がない、むしろ逆効果」という医師もいれば、やはり「保湿力の高い化粧水をたっぷり重ねるべき」という医師もいます。
一体、どっちが本当に肌に良いのか、分からなくなってしまいますね...
スキンケア製品を開発している私は、18年前までは「スキンケアには化粧水が欠かせない」と考えていました。
ですが、お客様の声や化粧品の原料メーカーから得られた情報などから、化粧水の役割について根本的な疑問が湧きあがったのです。
そして、ある事実に気づきました。
一般的には「肌に水分をたっぷりと与え、与えた水分で保湿成分や美容成分の浸透を促す」のが、化粧水の役割とされています。
でも、肌には水分の侵入を防ぐバリアの働きがあります。よく考えてみると、化粧水の役割との間に矛盾を感じませんか?
肌の保水力やバリア機能を担っているのは肌の一番外側に存在する角層ですが、水分を与えすぎるとふやけてしまい(過剰な水分で膨張する)、本来の保水力やバリア機能が低下する可能性があるのです。
その結果、乾燥しやすくなったり、刺激に弱くなったりする---つまり、乾燥肌や敏感肌の大きな原因の一つは、「化粧水の役割」にあるかもしれないということです。
もちろん、化粧水自体が肌に悪いわけではありません。
実際、「化粧水を使うと肌の調子が良くなる」と感じている人もいます。
けれども、過剰な水分の影響に気づいたあとは、一般的に信じられている「化粧水の役割」が、私には納得できなくなったのです。
「化粧水は本当にスキンケアに役立っているのだろうか」という疑問から「角層」の大切さを再認識した私は、「化粧水はいらない」という結論に至りました。
肌のうるおいは、角層に存在する4つの要素、「皮脂膜、角質細胞、角質細胞内の天然保湿因子、細胞間脂質(セラミドなど)」の「うるおいバランス」で保たれています。

もし、肌の調子が思わしくなく、乾燥などの悩みを解消できずにいるとしたら、これまで頑張ってきた化粧水中心のスキンケアが、もしかしたら、うるおいバランスを乱しているのかもしれません...
スキンケアの在り方を見直し、気づけば、私は60代になりました。
経験を重ね、肌に対しての考え方が深まる中、大人の女性が感じる肌ストレスの本質的な原因は、「シワやシミのない肌」という価値観や固定観念にあるのではないか...と考えるようにもなりました。
まだ、思い描いている理想との距離はあります。
それでも化粧水の役割に頼るのをやめて「常にすこやかな角層へ導く」というアプローチに切り替え、「大人の女性が自分らしく年齢を重ねることを楽しむ未来」に寄り添ってきたことへの手応えは感じています。
「常にすこやかな角層へ導くこと」、つまり「うるおいバランス」を整えることで、肌の保水力やバリア機能が高まり、乾燥肌・敏感肌の悩みを改善できます。
そして、「すこやかな角層」は、キメが整い、うるおいに満ち、触れるたびに心地よい「美しい肌質」そのもの。ナチュラルな透明感と輝きの源となり、あなたの表情をより豊かに、魅力的に見せてくれる大事な存在です。
乾燥肌・敏感肌の悩みを抱えていた女性を中心に、「化粧水をつけてもつけても乾燥していた肌が潤ってキメが細くなってきた」「肌自体が水分を含んでふっくらしている」「ボロボロだった肌が褒められるようになった」と、肌状態が良くなったことを喜んでいただけるようになってきています。
私の気づきが、あなたにも役立つことを願って詳しくお話ししていきます...


配信開始2007年
最終更新2025年04月
理想の化粧水の追求と現実
HEMUE(ヘミュー)を始めた当時、私は理想の化粧水を追求していました。
「スキンケアには化粧水が欠かせない」と思い込み疑っていなかったのです。その品質をどこまでも高めることこそが、「大切な肌のために本当によいことをしたいという想い」に繋がると考えていました。
化粧品の原料には、「合成界面活性剤」や「合成防腐剤」など、肌の乾燥を招く可能性があると懸念されながらも、品質を保つためにやむを得ず使われる“必要悪”とも言える成分があります。
私は、30代後半まで勤めていた化粧品会社では製品のプレゼンを担当することもありました。ですが、お客様にその魅力を伝える一方で、心の奥底では必要悪のことがどうしても引っかかり葛藤が続いていたのです。
だから、必要悪成分の使用をできる限り避けることは「HEMUEのポリシー」であり、それを守り品質を追求した化粧水に、私は自信を持っていたのです。
けれども、現実はそうではありませんでした...
見落としていたこと
スタートから2年目。
肌の乾燥に悩み続けていたお客様の期待には十分に応えられていないと感じていました。
化粧水の心地よい使用感を喜んでくださるお客様の声が届くようになった一方で、化粧水を何度も重ね付けし油分などで蓋をしても、「うるおいが長続きしない...」「肌の奥が乾く感じがする...」「夕方になると目元や口元がカサつく...」という声が少なからず届くことに、私は落胆していました。
「何か、見落としていることがあるからでは...」「どうすれば、もっと保湿効果が高まるだろうか...」と、原料のサンプルや資料を集め探り続けていたのですが...
そこに飛び込んできたのは、信頼している化粧品原料メーカーの「技術者向け資料(一般非公開)」の中にあった「許容量を超えた水分で角層が壊れだす」という主旨の記述でした。
これは、化粧水に頼りすぎると「乾燥肌や敏感肌を引き起こすリスクがある」ということを示唆するものです。
スキンケアでは「肌に水分をたっぷり与えることが大切」とされていた常識とは正反対でした。しかしその記述は、まるで虫眼鏡で拡大しているようにくっきりと浮かんで、お客様の悩みとリンクしました。
私はこの出来事をきっかけに化粧水の役割を見直し、「常にすこやかな角層へ導くこと」を目指すのなら「化粧水はいらない」という結論に至ったのです。
にわかには信じられないかもしれませんが、その理由を少し専門的なことをまじえながらお話しします。
角層の美肌力とスキンケアの本質
スキンケアにおいて、「肌の美しさを保つために最善なことは何だと思いますか?」
今、私がそう聞かれたら、迷わずこう答えます。
「角層をすこやかに保つこと」
なぜなら、現在の皮膚科学では、角層は、肌を正常に保とうとする働き(ホメオスタシス:簡単に言うと、健康な状態を保とうとする力のことです)と、深く繋がっていると考えられているからです。
「角層をすこやかに保つ」とは、その構造(うるおいバランス)を整え、本来の力が発揮できるようにすることです。
角層に備わっている保水力やバリア機能が高まるので、乾燥肌・敏感肌の悩みを改善できます。結果として、乾燥や紫外線の影響によるシワやシミの発生を抑え、それらを目立たなくする効果も期待できます。
つまり、肌の美しさの妨げになる様々な悩みの予防・改善が期待できるのです。

そして、「すこやかな角層」は、キメが整い、うるおいに満ち、触れるたびに心地よい「美しい肌質」そのもの。ナチュラルな透明感と輝きの源となり、あなたの表情をより豊かに、魅力的に見せてくれます。
角層の健康こそが「美肌の要」だと言えるので、スキンケアが「美しい肌質」を育むためのものであるなら、その本質は「常にすこやかな角層に導くこと」ではないでしょうか。
だからこそ、あらためて問いたいのは、「化粧水はそのために本当に欠かせないものなのか」ということです。
「化粧水で与えている水分量」「角層に備わっている水分の浸透を制限する働き」「許容量を超えた水分で角層が壊れだすという記述」などを照らし合わせると、疑問が生じます。
化粧水は本当に役立っているのか
化粧水の役割は「肌に水分をたっぷりと与えること」「与えた水分で保湿成分や美容成分の浸透を促すこと」などとされていますね。
実際、重ね付けすると、水分・保湿成分・美容成分などが浸透し、しっとり感や透明感が増したように感じるかもしれません。
しかし、その化粧水の役割や働きは、本当に「すこやかな角層」へ導いているのでしょうか?
まず、知ってほしいのですが、角層はバリアの役割を担っているので肌の一番外側で水分の浸透を制限しています。
例えば、お風呂に入っている時、お湯がどんどん肌の中にしみ込んでいくことはありません。角層より奥の肌組織には体内から水分が供給されているので、外から水分を供給する必要はありませんし、水分がどんどん染み込んでいくと肌も体も壊れてしまうからです。
外側から水分を供給する必要があるのは角層部分だけなのです。
つまり、肌の乾燥は角層の水分不足によって引き起こされるということです。
そして、角層は単純に水分を弾くのではなく、水分をスポンジのように吸収して膨らむ性質も持っています。この性質は、一時的な大量の水分から角層自体を守るためのものですが耐えられる限度があります。
ここで重要なのは、顔の角層は体の中で一番薄く、ラップよりもさらに薄いということ。
一般的に推奨されている化粧水の使用量「500円玉大(2mL〜5mL)」は、手のひらから溢れてしまいそうになるほどの量ですが、はたして、それは角層の「許容量」と言えるのでしょうか?
過剰な水分が角層に与える影響
実際に、ラップ(厚さは約0.02mm)を目安にしてみましょう。
ラップを顔のサイズ(約20cm×20cm)に切り、それを何度も半分に折り畳んでみてください。
2cm×2cmぐらいまで折り畳めると思います。
それが顔の角層の体積の目安です。
その折り畳んだラップの上に500円玉を置いてみてください。500円玉の方が大きく、厚みもありますよね。つまり、化粧水の500円玉大は角層の体積を超える水分量だと言えます。
一方、顔の角層の水分が不足し、つっぱり感やゴワゴワ感を感じるとき、失われている水分量は、実は、たった目薬2〜3滴(わずか約0.2mL)程度にすぎないのです。
化粧水の推奨使用量は、角層が必要とする水分量を明らかに上回っています。
水分を補ってもすぐに蒸発していく状態だと感覚的にはたくさんつけたくなると思いますが、実際は、角層が必要とする水分量は意外に少ないのです。
角層の水分の許容量には個人差があると言われていますが、水分が必要以上に押し込まれることで、角層は膨張し、「皮脂膜」「角質細胞」「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質(セラミドなど)」といった構成要素によって保たれている“うるおいバランス”が崩れてしまいます。
例えるなら、水に浸した食パンのように、ふやけて崩れやすくなった状態です。バリア機能が低下した状態になるので、様々な成分が浸透しやすくなります。
要するに、化粧水に含まれている保湿成分や美容成分が浸透しやすくなるのは、角層が膨張し、うるおいバランスが崩れ、バリアの力が弱まるためです。
もしかしたら、化粧水を過剰に使用している感覚はないかもしれません。
しかし、うるおいバランスの崩れが続いていると、「慢性的にすこやかさを失っている角層」=すなわち「未熟な角層」へと変化してしまうのです(イラスト参照)...

思い出してほしいのですが、肌は生まれ変わり続けています。
角層は、角質細胞が何層も積み重なってできていますが、肌が生まれ変わり続けているので、古くなった角質細胞を垢として剥がし落とし、新しい角質細胞に入れ替えています。
新しい角質細胞がやがて垢となって剥がれ落ちるまで、通常は14日、長くなると1ヶ月以上かかる場合もあると考えられていますが、入れ替えを繰り返すことで、常に「すこやかな角層」を保とうとしています。
ただ、角層のうるおいバランス(構造)が崩れたり、乾燥や紫外線などによる外部からの刺激で角質細胞が傷ついたりすると、肌は角層の修復を急ぎます。
その際、大きさも強度も不十分な角質細胞ができてしまう「不全角化」が起きることがあります。
この大きさも強度も不十分な角質細胞ができるほど、水分を保つ力やバリアの力が弱い「未熟な角層」になっていきます。
塗り重ねるスキンケアからの転換
あなたもスキンケアを始めるとき、「保湿は、まず化粧水で水分を十分に与え、与えた水分を逃さないように油分を含むアイテムで蓋をする」と、教わったのではないでしょうか。
それを信じて、できるだけ「水分をたくわえる」ことを目指してきたと思います。
その水分がたくわえられる場所は角層ですが、過剰な水分の影響で「未熟な角層」になるにつれ、肝心な「バリア機能」や「保水力」が低下していきます...
この本末転倒と言える現象が起きている肌が、いわゆる乾燥肌や敏感肌になっている状態です。
美容の記事などで目にする「肌が自ら潤う力を奪われた状態」と言い換えると、分かりやすいでしょうか...
そうなる理由として「肌が甘やかされて怠ける」といった説明を目にすることもありますが、実際には、肌はいじめられ続けていたのだと私は感じています。
お話ししてきたように化粧水の役割とされていることも「いじめの一つ」になりやすく、「塗り重ねるスキンケア」に頼り過ぎて悪循環を引き起こしてしまう可能性があります。
例えば、肌のハリ不足や毛穴の開きなどが気になると、その改善を求めてさらに化粧水を重ねたり、その前後のアイテムを増やしたりしがちです。でも、「未熟な角層」という根本的な原因がそのままでは、次第に様々な不快感や肌の悩みのカバーに苦慮することになります...
その結果、「化粧水をつけるほど、スキンケアをがんばるほど、肌にうるおいが宿らなくなっていく」という現象が起きてしまうのではないでしょうか。
「スキンケアに欠かせない」と信じられてきた化粧水の役割に、このようなリスクがあると気づき、化粧水への信頼も、保湿の常識さえも、私の中で音を立てて崩れていきました...
理想のスキンケアが何なのか、手探りの状態になりましたが「化粧水はいらない」という結論に至り、HEMUEを信じてくれる方々の肌と真剣に向き合うため、「化粧水の販売をやめる」という決断をしました。
従来の「塗り重ねるスキンケア」という過ちを繰り返すのではなく、「角層を常にすこやかな状態へ導く」というアプローチのスキンケアへと転換しなければならないと悟ったのです。
すこやかな角層=美しい肌質
すこやかな角層は、キメが整い、うるおいに満ち、触れるたびに心地よい「美しい肌質」そのもの。ナチュラルな透明感と輝きの源となり、あなたの表情をより豊かに、魅力的に見せてくれます。
しかしながら、角層は外部の刺激から肌を守るバリアの働きと引き換えに、常にダメージを受けやすい存在でもあります。
特に、薄くてデリケートな顔の角層は、季節・環境・体調の変化、そして、外部からの様々な刺激によってうるおいバランスが崩れ、「未熟な角層」になりやすい傾向があります。
「未熟な状態に傾かないように支える。そして、未熟な状態に傾いたときは、それをカバーしながら改善していく」
単に化粧水を省略するだけでは難しいため、私は、肌が自らつくるクリーム=「皮脂膜」を詳しく分析。その役割を製品に落とし込めるようになってきたのは、化粧水の販売をやめてから10年近く経った頃でした。
その後も改良を続け、現在は「ミニマルスキンケアメソッド」として提供しています。
ミニマルという言葉に込めた「本質を追求し、本当に必要な要素を見極めることで心豊かな毎日に繋げる」という思い描いている理想との距離は、まだあります。
それでも、乾燥肌・敏感肌の悩みを抱えていた方にも、「頑張らなくても潤うようになった」「肌自体が水分を含んでふっくらしている」「ボロボロだった肌が褒められるようになった」と、喜んでいただけるようになってきています。
もし、「化粧水を重ね付けしても乾燥が気になる」「肌の調子がなかなか良くならない」などの悩みを抱えていたら、あなたの肌が本来持つ美しさを無理なく取り戻していく第一歩として、HEMUEのミニマルスキンケアメソッドを、ぜひ一度体験してみてください。
次のページで詳しく紹介します。
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|+|HEMUEミニマルスキンケアメソッド
肌の仕組みに深く寄り添い、常にすこやかな角層へ導くことに特化した「本質的なスキンケア」だからこそ、乾燥肌・敏感肌の悩みがやわらいで、「化粧水はいらない」と実感できます。
-参考文献-
『皮膚科学』大塚藤男,上野賢一 金芳堂(2011)
『美容と皮膚の新常識』戸田浄 中央書院(2006)
『老化と寿命』三石巌 太平出版(2002)
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