化粧水はいらない本当の理由
乾燥肌の悩みに必要なのは
化粧水ではなくうるおいバランス
また、うるおわなかった。
スキンケアを頑張ることに疲れてきて、ふと考える。
「結局、化粧水は意味ないのかな?」
実は、開発者としての私も、ある時から何かおかしいと感じ始めました。
そして、分かったのは思いもよらないこと。
「肌に浸透した“余計な水分”がうるおいを奪っている可能性がある」という事実ーー20年前の当時はあまり知られていなかったことなので、私には衝撃的でした。
さらに詳しく調べ、乾燥肌に足りていない水分は“目薬1滴分だけ”ということも分かったのです。
つまり、この2つの事実から「化粧水の役割には乾燥肌や敏感肌を招くリスクがある」とはっきりしたのです。
化粧水は乾燥肌の悩みの味方ではないとわかり、私は開発も販売もやめました。お客様を戸惑わせてしまうとしても、肌の悩みを増やして後悔することだけは避けたいと思ったのです。
その後、化粧水に頼らない新しいアプローチの確立を目指すもーー何度も行き詰まりました。
それでも失敗を乗り越えてようやくたどり着いたのが、「うるおいバランス」を軸にしたアプローチです。
乾燥や刺激に負けない「美しい肌質」に、少しずつ近づいていけます。
化粧水に疑問を感じてはいるけれど、確信が持てず迷っている。
手放す自信がない。
もし、そんな気持ちを抱えているとしたら、私の経験が役立つと思います。
これから順番に詳しくお話ししていきます。


配信開始2007年
最終更新2025年08月
揺れている化粧水の必要性
「化粧水は本当に必要なの?」と、疑問を口にする人が増えています。
皮膚科医の間では今も意見が分かれていますが、「化粧水は水がほとんどで意味がない。逆効果で乾燥を悪化させることもある」と、積極的に発信している医師の方が増えています。
けれども、その“化粧水はいらない”という声は「不要論」として区別され、「化粧水は肌の水分量を保つために有効」という医師や専門家の声が、まだまだ“常識”として強く根付いています。
あなたはどう感じているでしょうか?
私たちが育てたいのは、乾燥や刺激に負けず、キメ・ハリ・ツヤが持つ自然な美しさや透明感をまとっているーーそんな肌だと思います。
そのために、丁寧に化粧水を重ね、スキンケアを頑張ってきたはず。
それでも乾燥や刺激に負けている感じがするとしたら、その不思議な現象の背景にあるのはなんでしょうか。
それは、「年齢や肌質の違い」という便利な説明にまかせ、“化粧水の真実”を無意識のうちに遠ざけていたことかもしれません。
実際、“必要論”を唱える医師や専門家でさえ「化粧水だけでは余計に乾燥する」と言っています。よく考えると、その中にもすでに答えが隠れているのです。
私がそれを意識し始めたのは、20年前にHEMUE(へミュー)を始めた頃までさかのぼります。
化粧水に込めた想い
「HEMUEの原点」
あの人はどんな化粧水を使っているんだろう...
当時の私は、開発者としても、生活者としても、より良い化粧水を追い求めていました。
特に意識していたのは、肌への負担になり得る成分への配慮です。
多くの化粧品には、品質を保つために合成界面活性剤や合成防腐剤が使われています。けれども、その事実や安全性について十分に説明されることはあまりないと思います。
以前、私が勤めていた化粧品会社では、消費者が懸念している成分は避けて、〇〇不使用・無添加としていました。しかし、そうでない成分は「必要悪」として受け入れていたのです。
「本当に肌のため?」という問い
もちろん安易に受け入れていたわけではありません。ただ、肌が荒れやすかった私には納得しにくいことでした。「これは本当に肌のためになっているのだろうか?」と、心の中でずっと問い続けていたのです。
「成分の品質と安全性をどこまでも高められたら...」ーーそれがHEMUEの原点でした。
大切な肌に使うものだから、誤魔化しのない心地よい化粧水を届けよう。
しかし、そこに込めた想いとは異なる“予想外の転機”が私を待っていたのです。
乾燥肌の悩みが続く意外な理由
頑張っても思うように肌がうるおわなくなってきたーーこれは多くの人が抱えている悩みです。
HEMUEを始めて2年目、私のもとにもその声は届きました。
「何度も重ねても油分を重ねても、肌が乾燥する」「洗顔直後の乾燥感が強くなった」
その感覚は、私自身も昔から覚えのあるもの。
ただ、化粧水の使用感を気に入ってくださる声も多く、使っている私自身も、そうした違和感を意識することはなくなっていました。
「肌質の違いのせいかもしれない」
そう思いながらも原因が気になり頭から離れません。なんとかしたいと思い肌への負担を減らす工夫を重ねました。けれども「これだ」と思える答えには、なかなかたどり着けず。
「期待に応えられず、申し訳ありません。」
そうお伝えするたびに胸が痛み、化粧水への自信は少しずつ揺らいでいったのです。
角層を壊す“許容量を超えた水分”
そんなある日、化粧品原料メーカーの技術者がつくった研究資料を読み進めていたときのこと。ページをめくる指が、ある一文で止まり、思わず息を呑みました。「許容量を超えた水分で角層が壊れだす」
それは「化粧水が乾燥肌や敏感肌を招くリスクがある」という示唆。その文字はまるで虫眼鏡で拡大されたように浮かび上がり、お客様の悩みと重なって見えました。
「原因は必要悪だけではなかった...」
ようやく、がんばっても肌が乾燥する理由の輪郭がはっきりと見えてきたのです。もしかしたら、化粧水に頼らないほうが「乾燥や刺激に負けない美しい肌質」に近づけるのではないか。
こうして私は、化粧水に頼らない新しいアプローチを探し始めたのです。
化粧水に頼らないーそれは可能か?
化粧水には「水分と保湿成分を与える」役割が与えられています。
しかし、そこに乾燥肌や敏感肌を招く原因が隠れていたのです。
そもそも、化粧水をつける一番の理由は「肌のうるおいのため」。
しかし、結論からお伝えすると「化粧水では“一時的なうるおい感”を得られても、“うるおいを整える”のは難しい」のです。
なぜなら、“うるおい”とは“角層そのもの”だからです。
大切な肌のために一番大事なことなので、少し専門的になりますが、まず肌の一番外側の角層について説明させてください。
それは、すこやかな角層の力
角層は「肌を守るバリア」として知られています。けれど、その働きはそれだけではありません。
皮膚科学では「肌が自ら健やかさを保とうとする力(ホメオスタシス)」とも深く関わり、キメ・ハリ・ツヤ・透明感といった肌質そのものを左右するとされています。
私たちが育てたい、乾燥や刺激に負けない美しい肌質。
それは、角層がすこやかに働いてこそ叶うのです。
そして、肌のうるおいとはーー
角層を構成している“4つの要素そのもの”と、これらの連携=“うるおいバランス”によって保たれている水分を、組み合わせたもの。
だから、肌のうるおいとは“角層そのもの”なのです。

イラストにあるように、「皮脂膜・角質細胞・天然保湿因子(NMF)・細胞間脂質(セラミドなど)の4つの要素」のバランスで“うるおい”を安定させています。
その安定した“すこやかな角層”は、キメが整い、うるおいに満ち、触れるたびに心地よい「美しい肌質」そのものです。そしてナチュラルな透明感の源ーーその力はどんな美容成分にも勝ります。
スキンケアが「美しい肌質」を育むためのものなら、その本質は「常にすこやかな角層へ導くこと」のはず。
果たして化粧水は、そのために役立っているのか。
化粧水が届くのは“顔の角層”まで。
そこには、どれくらいの水分が必要なのでしょうか?
驚くほど“わずかな量”で足りることが、数字から見えてきます。
数字が語る化粧水と乾燥肌の真実
「化粧水は水分補給に欠かせない」ーー「化粧水は必要」だとするメーカー、専門家や医師の根拠の一つです。ところが基礎データをもとに計算してみると、その常識は大きく揺らぎました。
・顔の角層の厚さは約0.01mm(体の角層の半分〜3分の2)
・保たれている水分量は0.1〜0.2mL(目薬2〜3滴分)
・乾燥で失われるのは、そのうちの1滴分程度
つまり、角層に必要な水分は、思いがけないほど少ないのです。
保たれている水分も、失われる水分も、ほんのわずかな量にすぎません。しかも、不足分は汗などによって自然に補給される仕組みになっています。
それでも私たちは、推奨量2〜3mL(500円玉大)の化粧水を重ねてきました。
必要量の10倍、20倍、それ以上。毎日のように、手のひらからこぼれ落ちるほどの水分を与え続けていたのです。
水分補給に欠かせないと思っていた化粧水が、実は「過剰」だったーー。
「許容量を超えた水分で角層が壊れだす」という一文とつながってくるので、「なぜ重ねても思うように肌がうるおわないのか」という謎も見えてきます。
本当に必要なのは、わずか1滴分を守れる、角層の“うるおいバランス”。
その仕組みを支えることができれば、私たちの肌は「乾燥や刺激に負けない美しい肌質」へと近づいていけるはずです。
顔の角層水分量を実際に計算してみる
※顔の角層の体積=顔の表面積 × 顔の角層の厚さ
・顔の表面積:約600cm²(成人女性の平均的な顔面積)
・顔の角層の厚さ:約0.01mm(=0.001cm)
→ 顔の角層の体積:600 × 0.001 = 0.6cm³
※角層の質量=体積 × 密度
密度:約1g/cm³(角層の主成分は水に近いため)
→ 質量:約0.6g
※水分含有率
→ 正常範囲:約15〜30%
※角層に保たれている水分量:0.6g × 0.15〜0.3 = 0.09〜0.18mL
※乾燥が進むと水分の含有率が10%程度に下がることもあるが、それでも不足している水分は0.05mL=目薬1滴分ほど
|参考文献|以下の文献・データをもとに自社にて角層水分量を計算
Madison KC. "Barrier Function of the Skin: 'La Raison d’Être' of the Epidermis." J Invest Dermatol, 2003.日本皮膚科学会『皮膚科学』改訂版, 2020.Lodén M., "Role of Topical Emollients and Moisturizers in the Treatment of Dry Skin Barrier Disorders." Am J Clin Dermatol, 2003.
角層は繊細な“堤防”
化粧水は「保湿成分を届ける」「次のアイテムを浸透させるブースター効果がある」ーーこれらも化粧水が必要な根拠です。けれど、それは本当に角層の“うるおいバランス”を支えているのでしょうか?
角層には、水分をスポンジのように吸い込み、一時的にふくらむ性質があります。しかし、それは無制限に水分をため込むための仕組みではありません。
肌の奥に水分が入り込むと壊れてしまうので、角層はふくらみながらも、水分を弾く“堤防”のように働いているのです。
それにかまわず化粧水を重ねるほど、角層はふやけ、バリアがゆるんでいきます。この「ふやける動き」があるからこそ「浸透している」と感じられるのです。
ところが、実際には“許容量を超え始めている状態”。
一時的にバリアがゆるむので、保湿成分などが浸透しやすくなり、“ブースター効果”が生まれることもあります。
しかし代償として、角層の“うるおいバランス”は崩れ、水分を抱え込めない状態に変わっていきます。
どれだけ化粧水を足しても、余分な水分は蒸発し、角層が保てるのは目薬2、3滴分まで。しかも、バランスが崩れることで“大切な1滴”さえも失われやすくなるのです。
化粧水の後に乳液やクリームを重ねて“フタをする”という発想は、その蒸発を遅らせようとするもの。
でも、そもそも“うるおいバランスを崩す状態”をつくること自体が問題ではないでしょうか。
角層にとっては化粧水の推奨量でさえ過剰な水分量。
つまり、化粧水が浸透するほどに大きくなっていくその代償ーーそれこそが、乾燥や刺激に負ける“本当の始まり”だったのです。

化粧水に頼り続けると肌はどうなる?
“本当の始まり”に気づかずにいると、その代償は「角層の修復リズム」にも及びます。“うるおいバランス”が崩れ続けていると、「不全角化」と呼ばれる現象が続き、小さくて弱い未熟な角質細胞が増えてしまうのです。
さらに、角層が本来つくり出す天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質(セラミド)も減少し、その結果として乾燥肌へと傾いていくのです。
とくに薄く繊細な顔の角層は、この不全角化が起こりやすい部分。
“本当の始まり”をきっかけにこの現象が続くと、肌はますます乾燥や刺激に負けやすくなります。落ち着かせようと化粧水を重ねても、バリアをゆるめ続ける限り、その状態はループし続けてしまいます。
つまり、化粧水で得られるのは、ただの“一時的なうるおい感”。
本当のうるおいーー角層を整える力は、そこにはなかったのです。
化粧水は「乾燥を隠す演出」であって、「乾燥を解決する答え」ではありません。
この現実は、理想の化粧水を追いかけていた私には厳しいものでした。
けれど、だからこそ。
はっきりと見えてきたのは化粧水に頼らない新しいアプローチの可能性。
「うるおいバランスが崩れないように支え、崩れたら優しく回復へ導く」ーースキンケアの本質は「常にすこやかな角層へ導くこと」にあるからです。
新しいアプローチのための整理
*化粧水は「乾燥を隠すもの」であって「解決するもの」ではない。
*本当に必要なのは、角層そのものを整える“うるおいバランス”。
*水分の浸透にこだわる時代は終わり、角層の働きを活かすアプローチこそが未来。
私は、この整理を出発点にして、必要な“3つの基本アイテム”を一からつくってきました。
その「守る・調律・持続」の連携が「ミニマルスキンケアメソッド」です。
防腐設計にこだわりすぎて製造を断念したこともありました。けれど、そうした失敗を糧に積み重ねてきた実感は、60代を迎えた私自身にも、そしてHEMUEを使ってくださっている方々の声にも表れています。
「頑張らなくても、うるおうようになった」「肌自体が水分を含んでふっくらしている」「ボロボロだった肌が褒められるようになった」
大切な1滴を守れるように支えれば、昨日よりも「乾燥しにくい」と感じられる日が少しずつ増えていきます。
それはやがて、キメが整い、うるおいに満ち、触れるたびに心地よい「美しい肌質」そのものとなり、私たちの表情をより豊かに、魅力的に彩ってくれます。
「化粧水はいらない」と気づいたその先を、ぜひ見てみませんか?
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|+|ミニマルスキンケアメソッド|“大切な1滴”を守れるうるおいバランス
どんな美容成分でもかなわないーーすこやかな角層の力は、“もともと”あなたの肌が持っているものです。
よくある質問(FAQ)
Q. 本当に化粧水をやめても大丈夫ですか?
A. はい、大丈夫です。最初は少し不安に感じるかもしれませんが、乾燥する肌に本当に足りないのは目薬1滴分の水分だけ。化粧水に頼るよりも、“うるおいバランス”を支えるほうが確実に安定してきます。
ただ、化粧水の使用を前提として設計されている乳液、美容液、クリームなどを組み合わせてお手入れしている場合、化粧水をやめるだけだと一時的によりどころを失ってしまいます。
“うるおいバランス”を支えるために役立つのは、水溶性と油溶性の保湿成分をバランスよく届けられるクリームです。HEMUEではそうした処方を追求してきました。
Q. 効果を実感するまでにどれくらいかかりますか?
A. “うるおいバランス”を支えることができれば、角層部分のターンオーバー周期の「数週間〜1か月ぐらい」で「乾燥しにくくなった」「肌が安定してきた」という兆しを感じることが多いです。大切なのは、角層を守り回復させること。継続して“うるおいバランス”を支えることで、肌質は確実に変わってきます。
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|+|ミニマルスキンケアメソッド|乾燥肌には“うるおいバランス”
|参考文献|
本記事の内容は、皮膚科学・化粧品学に基づく一般知識をもとに作成しました。参考文献:Lodén M. (2003), Rawlings AV. (2004), 日本皮膚科学会 (2020) ほか。
※このページにはスキンケアについてのヘミューの考え方を記載しています。弊社に無断でこのページの内容の全てまたは一部の転載を禁止します。