カート
栄養素2 タンパク質について


回は、タンパク質です。タンパク質を摂る目的と1日に必要なタンパク質の摂り方についてお話しします。

タンパク質と聞くと何が思い浮かびますか?

そして、もし、タンパク質の摂取量が足りないと、体になにが起こると思いますか?


■タンパク質が足りないと老化がすすむ

分子生物学という遺伝子レベルの生命現象までも研究する学問があります。

その分子生物学を専門し、栄養学についても深く研究していた方の話を踏まえて私になりにタンパク質について説明すると、タンパク質は人間にとって第1の栄養であり、不足すると老いるということです。

タンパク質は細胞の材料であり、そして酵素など体の働きに不可欠な様々な物質の材料となります。

足りないと筋肉が減るだけでは済まないのです。

頭もボケるし、免疫力が落ちるので病気にもなりやすいです。

ヘモグロビンが減り 貧血になるし、疲れやすくなるし、気力も失っていきます。

もちろん肌にも影響がでます。

例えば肌の土台部分と言える真皮層もしぼんでいきます。

ハリがなくなり、シワができます。

そしてタンパク質の摂取において大事なのは「量と質」だということです。

タンパク質の摂取量は、実は体重の1000分1が摂取量の一つの目安です。(未成年、スポーツ選手、妊婦さんは、その1.5倍以上が目安)

体重が45kgであれば、1日あたりおよそ45gが目安の摂取量になりますが、45g摂ればOKということではないのです。

タンパク質の「質」がともなっていなければ45g摂ったことにはならないからです。

その質を左右するのがタンパク質に含まれる「必須アミノ酸」の含有量です。

タンパク質を食べるもっとも大事な目的は、必須アミノ酸を摂取するということです。(摂取したタンパク質は胃腸でアミノ酸レベルに分解されてから体内に吸収される)

この必須アミノ酸は幼児に必要なものを含めると9種類あるとされています。

体に必要なアミノ酸は全部で20種類ですが、そのうちの体内で合成できない9種類のアミノ酸については、必ず、タンパク質を食べて摂らなければなりません。

だから必須アミノ酸といいます。


で、体の中で、例えば、肌に必要なタンパク質を作ろうとしているとします。

するとDNAの指令で20種類のアミノ酸の中から必要なアミノ酸が呼び出されます。

その時に何か一つでも不足しているアミノ酸があるとDNAの設計図通りにタンパク質を作ることができなくなります。

DNAの呼び出しに応えられるように体内には常に20種類のアミノ酸を用意しておく必要があるのです。

例えば車を組み立てるとき、全ての部品を揃えておく必要があるのと同じです。ネジ一本不足しても車は完成しません。

そのため必須アミノ酸の摂取状態に気をつけて不足が起こらないようにしなければなりません。

それがタンパク質の「質」が大事な理由です。

「でも、佐藤さん、肉・魚を適当に食べていれば必須アミノ酸は足りていると聞きますよ。神経質にならなくてもよいのでは?」

という意見もあると思います。

でも、本当にそうでしょうか?

私がそう言う理由は2つあります。


■タンパク質が不足する2つの理由

一つは消化吸収の問題です。

実は、肉・魚類などのタンパク質食品とご飯などの穀物類を一緒に食べる習慣が消化を難しくしている恐れがあります。(タンパク質の消化が上手くできないと、未消化のタンパク質を餌にするいわゆる悪玉の腸内菌が増え、腸内環境も悪化する)

そのため、タンパク質食品を食べても食べた分全てがちゃんと必須アミノ酸として吸収できているかどうか、疑わしいのです。

もう一つは「プロテインスコア」です。

タンパク質を含む食品はいろいろありますね。

その食品中に含まれる必須アミノ酸の比率と人体が求める必須アミノ酸の比率を比べたものがプロテインスコアです。

同じ比率であれば100点です。

プロテインスコアですが、タンパク質を評価する似たようなスコアに「アミノ酸スコア」があります。

でも、アミノ酸スコアは大豆を対象にしているので大豆が100点となっており、あまり参考にならないと思われます。

プロテインスコアでみると大豆は56点しかありません。

実は、牛肉でさえ80点です。

プロテインスコアで100点なのは鶏卵としじみだけなのです。

プロテインスコアが100点未満のタンパク源は、点数が低い分、実はたくさん食べないとなりません。

例えば、大豆だけで必要なタンパク質をちゃんと摂ろうと考えたとします。

大豆の場合は、含まれているタンパク質の量は2割弱だとされています。

もし、体重45kgだとすると、必要なタンパク質の摂取量は45gです。

大豆を250gほど食べればタンパク質を45g摂れる計算ですが、プロテインスコアを考慮すると、それでは25gぐらいしか摂ったことになりません。

そのため大豆だけで必要なタンパク質を摂ろうとする場合、最低500gほど食べる必要があります。

牛肉の場合だと、部位によりますが毎日400gは食べる必要があります。

この点などを踏まえると、毎日の食事をなんとなく摂っている人で、タンパク質を適切に摂れている人は少ないのではないかと思います。

どうでしょうか?

ちなみに美容によいとされているコラーゲンもタンパク質の一種なのでタンパク質食品といえます。

しかし、食べたコラーゲンがそのまま肌のコラーゲンにはなりません。

胃腸でアミノ酸レベルまでに分解されてから体に吸収されていきます。

でも残念ながらコラーゲンに含まれている必須アミノ酸はかなり低レベルです。

魚由来のコラーゲンほうが若干よいのですが、それでもコラーゲンを100g摂っても、例えば必須アミノ酸の一つメチオニンは大豆の3分1程度しか摂れません。

コラーゲンはタンパク源としてみた場合はあまり意味がないかもしれません。

なので、コラーゲンを販売しているメーカーは、なにか特別な理由を見つけようとしているようです。

コラーゲンを信じて飲んでいる方のためにも、そして美容によいものが増えることを願う意味でも、よい理由が見つかることを期待しています。


※コラーゲン摂取の有用性について研究している方からお話を伺いました。近日、別途掲載します。(2016年1月追記)


話を戻しますが、タンパク質は動物性がよいとか植物性がよいとか、いやコラーゲンだとかの議論の前に、まずタンパク質の質、つまりプロテインスコアはどうなの?

という点が大事なポイントになるのです。

動物性でも植物性でも、体に吸収されるときはアミノ酸レベルまで分解されて吸収され体に必要なものの材料となります。

酵素の材料になったり、肌の材料になったり。

タンパク質を摂取する際のポイントは動物性か植物性かではなく、タンパク質を含む食品から、必要なアミノ酸がどれだけ摂れるかなのです。

動物性タンパク質だろうが植物性タンパク質だろうが、必要なアミノ酸が足りなければ老いていきます。

なので、主な食品のプロテインスコア表をぜひ調べてみてください。

そして、食品をいつくか組み合わせて一日に必要なタンパク質を摂れるように心掛けてみてください。


■一日に必要なタンパク質の摂り方

プロテインスコアはわかったら、次に「食べ方」が大事になってきます。

どう食べれば吸収効率がよくなるのか。

そしてタンパク質以外にも炭水化物・脂肪などの栄養素を摂る必要があるので、タンパク質を十分に摂ってもカロリーオーバーしないためにはどうすればよいのかということです。(※タンパク質と炭水化物は1gあたりで4kcal、脂質が9kcalとされています)

タンパク質の消化をよくし吸収効率を高めるには、おすすめはやはり食べ分けです。

できれば、肉・魚の動物性タンパク質と穀物類との食べ分けをおすすめします。消化の仕組み上、食べ分けしたほうが消化しやすくなります。(朝・昼は炭水化物を摂るために穀物類を中心にし、夜はタンパク質を摂るために肉・魚類を中心に食べる)

それが難しいときは、タンパク質と穀物類を順番に食べることですが、これはタンパク質の吸収効率よりも、炭水化物での血糖値の急激な上昇を抑えるために有効かなと思います。


■タンパク源を食べる時間

消化吸収をよくするために、できれば食べ分けをして、肉・魚などのタンパク源は、原則夕食のみに食べるのがおすすめです。

タンパク質は夜寝ている間に多く使われるので、肉・魚を食べるのは、原則、夕食のみにしたほうがよいと思われます。

また、朝や昼にタンパク質を多く食べ、炭水化物をあまり摂らない食事をすると、タンパク質が活動のためのエネルギーの源に使われ、体の材料に回らなくなる恐れもあります。

タンパク質がエネルギー源に使われるとき、対内でタンパク質をブドウ糖に変えていくのですが、炭水化物をブドウ糖に分解するときよりもはるかにエネルギーを消費しますし、タンパク質分解酵素も消費されます。

そして、アンモニアも大量に発生します。

アンモニアが体に溜まると害になるので、体外に排出するために尿が臭くなります。

タンパク質をエネルギー源にすると犠牲を多く払う必要があるので、朝・昼は炭水化物をメインに摂取したほうがよいのです。

ちなみに、炭水化物は、脳や細胞活動のエネルギー源ですが、脂肪は筋肉のエネルギー源としても必要です。

筋肉のエネルギー源は、脂肪2対炭水化物1とされています。

主に使われる脂肪は飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸です。

なので、ビタミンやミネラルをちゃんと摂っているのに、日中、なんか力がでないなという時は、朝と昼の間あるいは昼に、飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸を含む食品、例えばアボカドなどや、飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸を含む油分(バターなど)を使った料理を適量食べるとよいと思います。


ここまでの話で、実はタンパク質は思っていた以上に重要だと感じていただけたら幸いです。

無計画だと必要な量を摂るというのは難しいけれど、計画を立てておけば、意外に簡単なはずです。

タンパク質をちゃんと摂れば、年齢を重ねてもつやつやな肌を保てるはずです。

しわやしみは多少はできるかもしれないけれど、チャーミングに年齢を重ねていけると思います。


ヘミュー 佐藤

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